ご挨拶

平成28年4月  
一般社団法人 日本自閉症協会
会長 市川 宏伸  

 4月1日付で山ア前会長の残りの任期を務めることになりました。
 私が自閉症に興味を持ち始めたのは、医学部の学生の時でした。小児科医を目指しており、なぜか小児科と精神科の授業は真面目に受けていました。大学の子どもの精神科の授業は山ア前会長が担当しており、自閉症に興味を持ったのを覚えています。大学を卒業してから東京に戻り、幾つかの大学の小児科を訪ねましたが、当時自閉症を専門としている先生はおらず、精神科に入局しました。この頃、1.5才ほどだった子どもの視線が合わず、出ていた言葉もなくなったのに気づきました。多分、転居により、周囲の環境が一変したため、自閉症の症状が顕著になったのだと思います。「自閉症の医師を目指してよかった」と思ったのを覚えています。
 その子も40才近くになり、今は施設で生活し、週末は自宅に戻っています。私も世田谷にあった全国最大の自閉症医療施設に勤務してから35年たちます。自閉症の支援は奥が深く、医療だけでなく、福祉、教育、就労など様々な分野が協力し合う必要があると考えています。私も当事者関連団体、医療施設、福祉施設、特別支援教育、司法関連など様々な分野に働きかけを行っています。
 自閉症の人達は裏表がなく、自分の気持ちを素直に表すため、誤解を受けることもありますが、こころが純粋な愛すべき人々だと感じています。自閉症の人が社会に合わせるのではなく、自閉症の人たちに住みやすい社会を少しでも実現できればよいと考えています。各地の自閉症協会と連携してそのような社会の実現に努力したいと思っています。