はじめて診断を受けた時
親御さん
子どもさんが「自閉スペクトラム症かもしれない」と告げられたとき、初めて診断を受けたとき、ショックを感じる親御さんもいらっしゃると思います。
確かに少数派の子どもを育てることは、容易なことではありません。
けれども、現在、自閉スペクトラム症については社会的にも認知が進み、国や地域の福祉制度も拡充され、相談する場所も増えてきました。
仲間や支援者とつながることで、少しは穏やかに子どもと関わっていけるかもしれません。
そしてなにより、“子どもの気持ちを第一“に、“その瞬間を大切にする“という、子育てにとって重要な姿勢は、自閉スペクトラム症ではない子どもに対する関わり方と変わりません。
ご本人、大人になって診断を受けた方
大人になるまで障害に気が付かず、社会生活において「周囲と自分は何か違う」「対人関係がうまくいかない」等の問題を感じて医療機関を受診したところ自閉スペクトラム症の診断を受ける方もいます。
周りの環境や社会との関係によって不利益を受けることが障害であるため、個人の障害特性が障害であるわけではありません。
一方で周囲との考えの行き違いは一朝一夕に解決することはあまりないため、少しずつ理解を求めていく・わかってもらうことが重要になってきます。お困りのことも多いかと思いますが、制度やサービス等の利用も検討しながら焦らず”一歩ずつ”が大切です。
日本自閉症協会副会長の内山登紀夫先生による講演動画
「自閉症の診断を受けた親御さんに伝えたいこと」(全4話)
向き合う姿勢
自閉スペクトラム症の人と接する際に大切なのは、「自閉スペクトラム症」というアプローチだけでその人をとらえるのではなく、「その人自身」に関心を持ち、理解する気持ちを持つことです。
多数派の物差しで「これができない」「他の子より遅れている」などと、違いをマイナスにとらえるのではなく、「できていること」「得意なこと」にも目をむけてみましょう。
そして、その独特な発想を楽しみ、受け入れ、夢中になっていることや好きなことをシェアしあうことで、その子らしい豊かな人生がはぐくまれていきます。
得意なことに向かう姿を温かく見守る人が、社会に増えるよう願っています。
二次障害に注意しよう
不安やストレスが原因となり、自閉スペクトラム症の人が別の精神疾患になってしまうことを「二次障害」といいます。
睡眠障害、うつ病、強迫性障害のほか、パニック障害、全般性不安障害、摂食障害、適応障害などが、よくみられる二次障害です。
自閉スペクトラム症の人が穏やかに暮らしていくためには、二次障害にならないように環境を整えていくことが何より大切です。
二次障害は「何とかまわりに適応しよう」とがんばりすぎて、こころがつかれ SOS を出しているサイン。そのまま無理をさせてしまうと、よい結果は生まれません。
まわりが SOS に気づき、できるだけストレスの原因をとりのぞき、ゆっくり休ませる、気分転換をさせるなど、本人のペースで回復するまで待つことも、時には大切です。