【シリーズ】 「子育てのストレスと上手に付き合う」 第2回 岩澤寿美子さん 

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 「子育てのストレスと上手に付き合う」をテーマに5回シリーズとして、
社会福祉法人 嬉泉 清瀬市子どもの発達支援・交流センター とことこセンター長
岩澤 寿美子さん(臨床発達心理士 公認心理師。執筆当時:女子美術大学非常勤講師)にお話を伺っていきます。

親子のストレスへの対応についてや子どもの成長を促すポイントについてなど、
普段の生活の中で無理なくできることをお伝えしていきたいと思います。

第2回
「ふわふわことばとチクチクことば

社会福祉法人 嬉泉 清瀬市子どもの発達支援・交流センター とことこ
センター長 岩澤 寿美子さん
(臨床発達心理士 公認心理師。執筆当時:女子美術大学非常勤講師)

今朝、朝一番のお子さんへの声かけは、どんなことばで一日が始まったでしょうか?

「いつまで寝てるの!なんで起きないの!」
「早くしないと遅れるわよ!」


 お子さんのこだわりやルーティンを頭では理解していても、早く起きて準備を始めてほしい、遅れないで学校に行ってほしい、
こんな声かけをしないで思うとおりに動いてくれればどんなにいいか。
毎日毎日朝から送り出すだけでも大変ですよね。
 でも、こんな声かけをするときお母さん自身はどんな気持ちでしょうか。
イライラ? ツンツン? ムカムカ?…。そして、もし 自分が朝こんな声かけをされたら どんな気持ちがしますか?

 今回のテーマはふわふわことばとチクチクことばとしましたが、お子さん方の道徳の授業で取り上げられたりしていますので、
どこかで耳にしたこともあるかもしれませんね。チクチクことばはイメージしやすいと思います。そして、お子さんのやる気スイッチはチクチクことばでは入りません。
 では、ふわふわことばってどんなことばでしょうか?
「相手を大切にしていることが伝わることば」、そして相手を大切にしていることは自分を大切にしていることでもあります。
「自己を認め、他を認める」ことをアサーションと言います。例えば、こんな会話、身に覚えはありませんか?

母 「今日の晩御飯、何食べたい?何でも言って」
子「○〇」
母 「〇〇はできないわよ」
子「・・・じゃ、何でもいいや・・・」
母 「食べたい物、ちゃんと言ってよ!」
子「・・・・・」


せっかくお子さんの好きな物を作ってあげようと思っているお母さんの気持ちは、攻撃に変わってしまっています。
何を食べたいと聞いて答えてもらったのに、できないと拒否をするという、矛盾した会話(ダブルバインド)になっています。
一方、お子さんは聞かれてリクエストしたことを拒否されたために、次の主張をしようともしない非主張の形になってしまっています。今度はどうでしょう。

母 「今日の晩御飯、何食べたい?」
子「〇〇」
母  「そうだわ、最近〇〇作ってないわね。今日は材料がないからゴメンね。明日作るわね。 今日は好物の△と▢なら作れるけど?」
子「じゃ、△」


最初からできること、できないことを明確にしたり、選択肢を挙げておくともっとスムーズかもしれませんね。

朝の会話は、どうすればいいでしょう・・・。


 見通しを持って計画を立てることが苦手なお子さんには、まず、何時に寝れば、朝心地よく起きることができるか。
十分眠ることがどれだけ心地よい一日につながるかを考え、実感することから始めるとよいかもしれません。
お互いの気持ちに余裕のある時間に、お子さん自身がどう考えているかを共有してみることは大事です。

「おはよー!いい天気よ!  大好きなハムエッグが冷めないうちに食べてほしいわ」


鼻歌交じりにカーテンを開け放してみましょうか。
(そうそう、年頃のお子さんの部屋に入っていいかどうかも話し合っておきましょうね。)

イヤなことや傷つくことばが、いつまでも記憶に残ってしまうタイプのお子さんにとって
チクチクことばは、まるで自分が全面否定されているようにこころに突き刺さります。
まずはお母さんから、お互いのこころがふわふわすることばを探して声に出して試してみてください。
なかなかすぐに思う通りに子どもが行動してくれないかもしれませんが、
ほら、お母さんの気持ちは「ほっこり」していませんか?

次回は「成長を促すポイント『待つ』って難しい」です。